2014年11月3日月曜日

福島原発事故の前のスクリーニングレベルは4000cpmだったらしい。

福島原発事故では最初、スクリーニングレベルを13000cpmに設定したが、引っかかる人が多過ぎて除染が間に合わないので10万cpmの測定器が振り切れると除染とした。
でも、調べてみると、福島原発事故の前のスクリーニングレベルは4000cpmだった。

スクリーニングレベルでは、下記の4つの項目が、ほぼ等価の被曝量と推測するらしい。
(1)体表面汚染密度:40Bq/cm2 よく使われるサーベイメーターでは約4000cpmに相当。
(2)全身推定線量:100mSv
(3)鼻腔汚染:1 KBq
(4)甲状腺131I:3KBq

http://www.matsue-cityhospital.jp/hibaku/index__007.pdf

緊急被ばく医療の知識

-避難所等における初期被ばく医療活動-

1.スクリーニングレベル
初期被ばく医療のフローチャートにおけるスクリーニングレベルは、次の4つ
の項目からなっています。
(1)体表面汚染密度:40Bq/cm2
(2)全身推定線量:100mSv
(3)鼻腔汚染:1 KBq
(4)甲状腺131I:3KBq
以下、順に根拠を説明します。
(1)体表面汚染密度:40Bq/cm2 について
呼吸により放射性の131I を含む放射性プルームからの空気を吸入した場合、そ
の131I による甲 状腺の線量が0.1Sv(10 レム)になるとして、そのような放射能
濃度の空気にさらされた(その程度は、“濃度×時間”で表される。)とき、体表面
に付 着すると予想される放射能の表面汚染密度をスクリーニングレベルとして
います。これは、次の考えから導かれています。
一日当たりの幼児の呼吸率を8×106cm3 (原子力委員会“発電用軽水型原子炉施
設周辺の線量目標値に関する評価指針”、昭和51 年)とし、幼児の甲状腺質量(m)
を4 グラム(同)とします。幼児が空気中濃度χ(μCi/cm3)の131I を含む放射性
プルームにT時間さらされたとします。このときの吸入摂取量は、(8×106/24)
χTμCi となります。
ICRP publ.2 にしたがって、吸入したヨウ素が甲状腺に達する割合をfa=0.23、
有効吸収エネルギーε=0.23MeV、実効半減期Teff=7.6 日として、幼児の甲状腺線
量D(レム)を計算すると、
D=8×106/24χT× fa×51.2ε/m×Teff/0.693=2.5×106χ T(レム)
となります。甲状腺線量を10 レムとすれば、2.5×106χT=10 です。したがって、
幼児の甲状腺に10 レムの線量を与えることに相当する空気中131 濃度の時間積分
値は、χT =4×10-6(μCi/cm3 )・h となります.
次に、いろいろな表面に対する放射性ヨウ素の沈着速度Vg は、およそ0.1~1cm
/s の範囲にあって1)、人の体表面、衣服等についてもこの値を用います。甲状
腺線量10 レムを被ばくしたときの表面汚染密度のレベル(σ)は、上記のχT と
Vg との積で与えられます。言い換えれば
σ=4×10-6×3600[(μCi/cm3)・S]×Vg(cm/s)
=1.4×10-3~1.4×40-2μCi/cm2
となります。したがって、小さい方に近い値10-3μCi/cm2 すなわち40Bq/cm2
をとって体表面汚染密度のスクリーニングレベルとしています。
なお、ICRP Publ.71 によれば、1歳児が131I を1Bq 吸入摂取した場合、甲状腺
に3.2×10-6(Sv/Bq)の線量を与えます。また、活動時の呼吸率を0.31×106cm3
/hとしています。したがって、甲状腺に0.1Sv の線量を与えるχT は、
(0.31×106)×3.2×10-6χT=0.1
より、χT=0.1(Bq/cm3)・h です。これより、
σ=0.1×3600[(Bq/cm3)・s]× Vg(cm/s)
=36~360Bq/cm2
であり、ICRP Publ.2(旧いモデル)に基づいて導出された40Bq/cm2 の数字と比
べても整合しています。


1.身体汚染スクリーニングの方法と評価

表面汚染密度(Bq/cm2) =正味の計数率(cpm)
×表面汚染密度換算係数
(Bq/cm2/cpm)
×換算係数の補正値
例:核種 放射性ヨウ素(131I)
正味の計数率 2,500cpm
表面汚染密度換算係数 2.1×10-3Bq/cm2/cpm
表面汚染密度換算係数の補正値 4.3
表面汚染密度 2,500×2.1×10-
3×4.3=23.65Bq/cm2

参考:スクリーニングレベルに相当する指示値の求め方
例:核種 放射性ヨウ素(131I)
バックグランド計数率 100(cpm)
表面汚染密度換算係数 2.1×10-3Bq/cm2/cpm(ウラ
ン線源)
表面汚染密度換算係数の補正値 4.3
スクリーニングレベル 40Bq/cm2 に相当するメータの指示値
100+40/(2.1×10-3×4.3)=4,3 28cpm≒4×103cpm

校正済みであり校正定数が貼布されている身体汚染スクリーニング用サーベイ
メータの場合は上式より表面汚染密度換算係数を求めることができます。例えば
TGS-136 型サーベイメータの場合、校正定数は4.2×10-2(Bq/cpm)となっており、
表面汚染密度換算係数としては2.1×10-3(Bq/cm2/cpm)を得ることができます。
汚染核種がウランと異なる場合、即ちβ 線の最大エネルギーがウランと異なる
場合の表面汚染密度はエネルギーの違いを考慮する必要があります。ま た、測定
はGM計数管を表面からいくらか離して行いますので、これによる感度の変化を
考慮する必要があります。これらの補正を表面汚染密度換算係数の補正 値とする
と、表面汚染密度は、この換算係数の補正値を用いて次式から求めることができ
ます。
表面汚染密度= 表面汚染密度換算係数の補正値 ×表面汚染密度換算係数
×計数率
放射性ヨウ素の場合、エネルギーの違いと、測定条件の違いを考慮して表面汚
染密度換算係数の補正値は図4-1 より求めることができます。体表面と 検出器
の測定距離が10mm の場合は図4-1 の10mm の場合の曲線上での放射性ヨウ素
のβ 線最大エネルギー0.6MeV における値が表面汚染密度換算係 数の補正値とな
ります。
型式による校正定数等の比較表

型式
校正定数
(Bq/cpm)
バックグラ
ンド
(cpm)
検出下限
(Bq/cm2)
TGS-113 6.1×10-2 約65 7.4×10-2
TGS-123 4.3×10-2 約65 5.5×10-2
TGS-136 4.2×10-2 約65 5.6×10-2

図4-1:表面汚染密度換算係数の補正値とベータ線最大エネルギーの関係
(TGS-113 またはTGS-123 型)
※換算係数の補正値は電着ウラン線源、0mm における校正定数を1に
規格化したものである。図中の10mm の点は、ヨウ素-131 から放射さ
れるベータ線の最大エネルギー0.6MeV のときの表面汚染密度換算係数
の補正値(4.3)を示す。